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3.11

JR京都伊勢丹でのイベント無事に終わりました。足をお運びくださいました皆さま、 
スタッフの皆さま、本当にありがとうございました。

昨日は3.11東日本大震災から丸10年でした。

翌年の2012年『第一回全国やきものフェアinみやぎ』が開催されました。

あの大震災から復興へと立ち上がる真っ只中の東北の方々に、やきものを販売に行って果たして欲してくださる方がいるのだろうか。

日々の暮らしもままならない中で、器は本当に必要なものだろうか……。

考えても考えても答えが出ないまま2012年8月、東北・仙台へ向かいました。

報道で見た甚大な被害を受けた仙台空港は自分の想像を遥かに超え、とてもキレイでした。

眩しく照りつける太陽と8月の青空のもと、あの日この場所で起きたことを感じさせないほどであり、どれほど多くの皆さんの力で1年という期間でこれだけの復旧を成し得てこられたのかを思うと言葉になりませんでした。

またそれと同時に交通などのインフラや電気・水道・ガスなどのライフラインの復旧がいかに人に安心感を与え、精神的にも希望や支えとなることを教えられた気がします。

仙台へ行くにあたり心に決めていたことがひとつだけありました。 

それは『もの』を『売り』に行くのではないということです。

(実際には「やきものフェア」に行っているわけで、非常に矛盾しているように思われるかも知れません。)

仙台でさまざまな方々と出会いお話を伺うことで、自分は何もできない無力なんだと思い知らされました。
『何か少しでも役に立つことができるかも知れない』との考えがとても傲慢なようにさえ思えてきました。

けれど『ここへ来てくれたことが嬉しい』
多くの皆さんが言ってくれた言葉です。
『東北を気にかけて足を運んでくれたことが嬉しい』
この言葉で救われたような気持ちになりました。

この経験によって、私の『ものづくり』への考えが180度変わってゆきました。

『売れる』『もの』を作るのではないと。

陶磁器の材料である土は自然のものですが
一度火を入れると、自然には戻りません。

もう立派な産業廃棄物となってしまいます。

だからこそ心を込めて丁寧に作る、手仕事の『ものづくり』に意味があると思っています。

今、世界中の人々が直面しているコロナ禍の日々。
この後の未来にどのような形でバトンタッチしたいのか。

そんなことを考えながら
より暮らしに寄り添った器づくりを模索しています。

ーたゆまざる 歩みおそろし かたつむりー
彫刻家 北村西望さんのことばです。

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